エリザベト音楽大学
長期計画(2016年度~2025年度)

はじめに

エリザベト音楽大学は、2018年に創立70周年を迎える。2008年に「創立60周年中期計画」を公表して、中期目標(5年間)を示した。その後、2012年度には戦略会議を立ちあげ、SWOT分析により大学の強みと弱みを確認しつつ、「エリザベト音楽大学戦略マップ」、「ヴィジョン(10年後のエリザベト音楽大学のあるべき姿)」そして「行動標語(アクション・フレーズ)」を決定した(2013年度)。
その後、「創立60周年中期計画」以降の様々な計画を顧みつつ、新たに10年後を見据えた長期計画の検討を行った。本学は今後も高いレベルの音楽教育を着実に行うことにより、その存在価値を高め、広島から世界に向けて優秀な人材を輩出することに注力する。

基本理念

1.建学の精神、教育理念の実現

エリザベト音楽大学「建学の精神」及び学校法人エリザベト音楽大学「寄附行為(第3条)」により、本学はカトリック・キリスト教精神、特に「他者のために生きる人を育てる」というイエズス会の教育理念に基づく音楽教育を行う。
教育理念の《教養、実力、慈愛のある音楽家の育成》をモットーとして、本学のすべての構成員が、教育理念、ヴィジョンそして行動標語を十分に理解し、規範として行動する。

2.広島から世界に貢献

エリザベト音楽大学は、被爆地ヒロシマにおいて、音楽芸術により平和を愛し、人々の心を癒し、国際平和文化都市広島に貢献する学生を育成してきた。広島のみならず、アジアを中心とした国際社会においても、本学の音楽芸術の教育機関としての独自性及び優位性をさらに発展させる。

3.学生の夢や目的の実現

小規模大学のよさを発揮して、学生一人ひとりに質の高い教育を保証し、学生の満足度を上げる。その結果として、学生の夢や目的の実現に貢献する。

分野別目標

1.建学の精神、教育理念、ヴィジョンの具現化

  1. 建学の精神、教育理念及びヴィジョンにしたがって、3つのポリシー〔「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」〕を策定し、PDCAサイクルによる大学運営を行う。
  2. 宗教音楽を基盤として音楽の幅広い専門教育と研究において卓越した大学となる。
  3. キャンパスミニストリーを中心として、イエズス会及びカトリック教会と連携して、音楽をとおした貢献活動、そして人々の心の癒しとなる活動を実践する。

2.教育研究

  1. 大学設置基準に定められた専任教員数を上回る優秀な教員を採用し、高度な研究能力及び演奏技能を教授する教育機関であり続ける。
  2. 学士課程及び大学院修士・博士後期課程ともに、教育課程に関して見直しと刷新に努め、日本の音楽教育の先進的な教育機関であり続ける。さらにIRを担当する部門の強化を図り、情報の一元管理に努める。
  3. 学生生活支援について組織的に取り組む。特に、奨学金授与とキャリア支援については、音楽大学のトップを目指す。
  4. 国内外のカトリック大学の連盟、あるいは大学コンソーシアムなど、大学連携による取組みに積極的に参加して、学生及び教職員の活動の場を広げる。
  5. 教職員のFD及びSDに積極的に取り組み、教育研究の基盤強化を図ると同時に、建学の精神・教育理念等の理解の深化にも努める。

3.地域社会、世界への貢献

  1. 相互協力の協定を締結している広島市・広島県をはじめとする文化芸術の諸機関と連携して、地域の音楽芸術の発展に貢献する。
  2. 音楽科の教員あるいは音楽指導者を目指す学生の教育・指導体制を強化し、多くの卒業生を広島県内外の教育機関に輩出する。
  3. 留学生に対する奨学金制度を継続し、アジア各国の音楽教育の基盤強化、音楽芸術の振興に貢献する。
  4. 友好交流協定を新たに締結することを含めて、国外の音楽大学等との連携を強化して、教育研究の幅を広げ、学生の留学をサポートする。
  5. 本学を会場とした短期留学制度、あるいは教職員・学生の国際会議等を実施し、広島にいる学生に国際的な活動を体験できる機会を提供する。

4.経営

  1. 教員と職員とが協力して、学生募集及び広報活動を改善・充実させ、定員充足を図る。
  2. 学生募集に寄与する学科・専修・専攻の改組等を法人と教学が連携して取り組む。
  3. 学生納付金、補助金、収益事業、資産運用等の長期的な計画を策定し、永続する大学経営の財政基盤を確立する。
  4. 大学全体のガバナンスとマネジメントの質の向上を図り、意思決定の効率化及び迅速化、ステークホルダーに対する説明責任、速やかな情報公開、リスク管理等を徹底する。
  5. 創立70周年(2018年)及び75周年(2023年)の関連諸行事をとおして、音楽芸術の拠点としての存在価値を高める。
  6. エクステンションセンター及び付属音楽園と大学が一体となり、相乗効果を得るように努める。

5.施設設備

  1. 西条キャンパスの利活用の将来計画について、創立75周年までに検討を行う。
  2. 幟町キャンパス本館及び1号館の建て替えを含む、2030年キャンパス計画を創立75周年までに策定する。
  3. 学生、教職員、そして地域住民にとり本学が安心安全な施設であり続けるために、維持管理の長期計画を策定する。
  4. 女子学生寮の維持管理、活用策及び将来像に関する検討を行う。
  5. 学内情報機器(ICT)の更新または新規導入を積極的に行う。その際、セキュリティ管理に配慮し、教育研究及び管理運営に最適なシステムを選定するよう努める。

(2016年7月28日 理事会承認)